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時折激しい雨は降りますが、梅雨いったいどこへ⁉と言いたくなるほどの猛暑。水分をこまめにとり、温度・湿度を意識した行動により、熱中症を予防していきましょう。さて、今回も引き続き「様々な原因によっておこる疲労②」 について、ご紹介致します。無理なく、ご自分のペースで楽しい毎日をお過ごしください❦❦❦
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労作がもたらす疲労
筋肉痛とは、筋線維が傷つき、修復するときに炎症が起きることで痛みが生じる状態のことをいい、痛みを感じる程ではないけれど、疲れを感じている状態を筋疲労といいます。これは筋肉自体に傷はないものの、体の各部の筋肉を使いすぎることで筋肉が収縮し血液循環が悪く、うまく伸縮できないことで生じます。筋肉疲労は体を動かすことで消費されるエネルギー量が上回り、バランスが取れなくなることで引き起こされます。このエネルギーバランスに大きく関与しているのがATPという物質です。
<体のエネルギー源ATP(アデノシン三リン酸)>
ATPとは、細胞内のミトコンドリアで生成され、糖質、脂質、一部のアミノ酸が酵素と反応して酸化される代謝経路で生成されます。そして、ATPはATP分解酵素の働きによりADP(アデノシン二リン酸)とリン酸(Pi)に分解される過程でエネルギーを生み出します。ATPは全ての細胞へエネルギー供給できるため、運動で筋肉を動かす時や生命維持活動のエネルギー源となります。そして、分解されたADPはリン酸と再合成し、ATPとなり、エネルギー産生に使われます。
運動時、体は筋肉に蓄えられているエネルギーや酸素を運動の強度に応じて体が調整・利用し、エネルギーを産生しています。しかし、体内のATPは非常に少ないため、運動をすると数秒で枯渇してしまいます。そこである程度動き続けられるように、人間には絶えずATPを産生し続ける仕組みが備わっているのです。
<エネルギー産生3経路>
① ATP-PCr系(無酸素系):最も素早くATPを産生できる経路のため、高強度の運動の際にこの仕組みが重要になってきます。ATPを分解した際に生じるADPと体内(殆どが筋肉)に貯蔵されているクレアチリン酸(PCr)を利用します。
② 解糖系(無酸素系):ATP-PCr系に次いで、2番目に早くATPを産生することができるのが解糖系で、その名の通り糖を分解する過程でATPを産生します。ATP-PCr系と解糖系はエネルギー源を産生する過程で酸素を必要としないため、主に無酸素運動を行う際に利用されています。
※無酸素運動…酸素がない状態で働くのではなく「酸素がなくても働く」こと
③ 酸化系:糖や脂肪を利用してATPを産生し、その過程で酸素を利用することが特徴で有酸素運動を行う際に使われるエネルギー産生です。酸化系は早くATPを作り出すことは苦手ですが、長時間作り続けることができるため、持続力を必要とする運動を行う場合に必要です。
これら3つのエネルギー供給システムは、運動開始後、全て動き始め、運動時間や強度によってそれぞれ適応します。例えば、運動強度が高く短時間で終了するような運動では、最もエネルギー供給速度の速いATP-PCr系から大部分のATPが供給されます。逆に、運動時間が長くなると、酸化系の関与が徐々に高まります。
*疲労骨折とは*
疲労骨折とは、1回の大きな力による通常の骨折とは異なり、骨の同じ部位に繰り返し小さな力が加わることがストレスとなり、ひびが入ったり、ひびが進んで完全な骨折に至ったりした状態です。スポーツ選手では、短期的に集中的なトレーニングを行った時に起こることが多いです。足の骨に起こることが圧倒的に多く、脛骨(すね骨)や中足骨(足の甲の骨)、腓骨(すね骨外の細い骨)に多くみられます。長時間の運動や激しい運動を行った後に痛みが生じ、運動をやめると治まるため、多少痛みがあっても運動を継続することができます。しかし、無理に運動を継続すると痛み痛みの表出が次第に速くなり、完全な骨折に至ります。そのため、少しの痛みであってもほかの疲労同様、休息や疲労回復に努め、完全な骨折に至らないようにすることが大切です。
よろしければ「サンデー北九州(8/3号)」のコラムもご覧ください‼
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