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TREE通信 No.52

新年度を迎え、新たな気持ちでスタート。さて、今回も先月に続き、私たちの身体で見えない敵と常に戦ってくれている 「免疫」 についてご紹介しております。身体を知り、自分の健康は自分で守っていきましょう❦❦❦


異物の侵入・防御

異物は細菌やウイルス、花粉、ほこりなど私たちの周りに様々な形で存在しています。このような異物は、体内に侵入すると病気になる可能性のある物質であるため、生体には異物の侵入を防御する仕組みが備わっています。この生体防御の第一の壁は、私たちの皮膚や粘膜です。皮膚や粘膜の細胞は、上皮細胞と呼ばれ、隣り合う細胞がびっしりと密着して異物の侵入に備える強力な防御になっています。また、消火器や呼吸器の粘膜は粘液で覆われており、異物からの防御をさらに強固なものにしています。皮膚や粘膜は侵入してきた異物を直接攻撃する様々な抗菌物質を作り、防御しています。例えば、汗や涙に含まれるリチゾームという酵素や、皮膚や粘膜に存在するデフェンシンという抗菌物質は、細菌の細胞膜を破壊する働きがあり、異物を不活性化することが可能です。さらに汗や皮脂には、皮膚表面を弱酸性(pH3~5)に保つ働きがあります。弱酸性の環境下では、細菌の分裂速度が低下するので、細菌の繁殖を抑えることができています。また、胃液はpH1.0という強酸性であり、食物と一緒に胃に入ってきた細菌やウイルスなどの異物は生存することができません。このように、生体に備わっている様々な防御機構によって私たちの健康は保たれています。


異物の識別・攻撃・排除

免疫システムは異物の侵入から体を守るために、まず自分(自己)と自分でないもの(非自己)を識別しています。非自己である異物が体内に侵入すると、免疫システムでは異物の存在を認識し、異物と自己を区別します。異物には「抗原」という表面に標的となる分子があり、免疫細胞はこの抗原を認識し、異物を攻撃します。免疫システムが「抗原」を認識すると、免疫細胞が活性化し異物を攻撃し始めます。また、生体に一度侵入してきた異物を記憶し、武器となる「抗体」を産生することで、再度侵入してきた異物を速やかに攻撃し、排除する抗原抗体反応という仕組みも備わっています。ちなみに感染症によって免疫記憶は異なります。麻疹や風疹などの病気は、一度かかると終生免疫を獲得するため、二度とかかることはないと言われています。一方で、インフルエンザウイルスは毎年変異を繰り返すため、以前かかっていたとしても、以前と同じ型でない限り抗体が体に存在しないため、変異したウイルスには対応できません。


体内の環境維持

私たちの体には、生体恒常性(ホメオスタシス)という外部環境が変化しても体温や血糖値、血圧などの内部環境を一定に保つような仕組みがあります。免疫は、自律神経系、内分泌系と共に体のバランスを維持する役割を担っています。日々、様々な異物から体を守るのが免疫の大きな役割ですが、擦り傷で大きな手当をしなくても自然に治っていくのも免疫細胞が働いているからです。その他、ストレスに強い体を作ったり、細胞組織の老化・破壊による病気を予防したりするなど体が些細なことで弱らないよう常に免疫細胞が働いています。


 
 
 

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